【Mstar-Archive-261001】 UNCHILDの「UNCHILD」ほか全5曲
■ UNCHILD - 荒々しいガレージリフとサイケデリックなドロップが生み出す異質なエネルギー by UNCHILD

ハイアップエンターテインメントが送り出す6人組ガールズグループ、アンチャイルド(UNCHILD)は、その名前からして少し違う。既存の枠組みから抜け出すという意味を込めた接頭辞「UN-」のように、デビューからして、どこか馴染み深いK-POPの文脈から少し外れた印象を与える。デビューシングル『We Are UNCHILD』のタイトル曲「UNCHILD」は、そんなグループのカラーを実に率直に表した楽曲だ。荒々しくうねるガレージサウンドに、エレクトロミュージック特有の夢幻的な質感を重ね合わせ、冒頭から先の展開を簡単には予想させない。
プロデューサーのラド(Rado)、FLYT、Z4、Mariaが共同で手がけたこの曲で、まず耳に飛び込んでくるのは、アナログ感のあるエレクトリックギターの粗削りなリフだ。洗練されたギターサウンドというより、どこか無骨で生々しい質感が残されており、曲の第一印象を強烈に刻みつける。そこに重低音の電子音とローエンドの厚みが重なることで、ギターとエレクトロサウンドが互いに押し引きするような感覚を生み出している。そしてサビに差しかかると、雰囲気がもう一度大きく変化する。力強く炸裂するドロップとサイケデリックな電子音が一気に押し寄せ、それまで曲の中に蓄えられていたエネルギーを一気に解き放つ。
ボーカルも、メロディを滑らかにつないでいくというより、リズムとアティチュードを伝えるスタイルに近い。曲の冒頭から繰り返される「We are UNCHILD」は、歌の一節というより、グループ名を直接叫ぶ宣誓のようにも聞こえる。「Don't say no」「We don't stop it」「Do my thang」「We go higher」といった短く鮮明な英語のフレーズが矢継ぎ早に続くのも同じ文脈だ。声がメロディを追うと同時にリズムの一部となり、曲を前へと突き動かしていく。
120 BPMのMstar譜面では、この特徴をよりダイレクトに感じることができる。特にベースの重厚な動きとエレクトリックギターのリフが生み出すリズムのアクセントが、指先に伝わる打感と見事に噛み合う。ただ速いだけではなく、一拍一拍を力強く踏みしめるような感覚を楽しめるトラックだ。

■ Classified - クラシックの優雅さとジャージー・クラブのビートが交差する夢幻的な夜 by OH MY GIRL

OH MY GIRLの「Classified」は、グループが持つ繊細な感性と新たな音楽的挑戦が、1曲の中で共存するトラックだ。デビュー10年目を迎えたグループらしく、曲の雰囲気はより一層成熟しているが、OH MY GIRL特有の夢幻的で温かな感性は健在だ。8thミニアルバムの収録曲「私の人形(アンニョン、夢で遊ぼう)」からモチーフを得て、大切な人を一晩中守り続ける愛着人形の物語をアンサーソングのように紡いでいる点も、曲のムードと見事に調和している。
イ・ジュヒョンとNILDが手がけたサウンドは、一見すると交わりそうにない2つの世界をひとつに重ね合わせる。上層にはピアノとクラシカルなオーケストレーションが広がる。ピアノとストリングスの旋律は、静かな夢の中を歩いているかのように柔らかく切ない。しかし、その下ではジャージー・クラブ(Jersey Club)特有の細かく刻まれたビートが絶え間なく動き続ける。優雅なストリングスとせわしなく駆け抜けるドラムが1曲の中で交錯する、その鮮やかなコントラストが「Classified」ならではの不思議な魅力を生み出している。
OH MY GIRLのボーカルは、こうした複雑なサウンドの中で、むしろ落ち着いた輝きを放つ。メンバーそれぞれの柔らかく透明感のある歌声が重なり合い、曲に特有の神秘的な空気をまとわせている。ミミが参加したラップメイキングも、曲の流れに自然に溶け込んでいる。とりわけ「Sometimes I dive into your dream」へとつながるサビでは、力強さで押し切るのではなく、メロディそのものの美しさを生かす歌唱が印象的で、ハイテンポなビートとの鮮やかな対比をなしている。
140 BPMという速いテンポも、この曲のもうひとつの醍醐味だ。MstarのExpert譜面では、ジャージー・クラブ特有の密度の高いリズムとストリングスの叙情的な流れが、ひとつの画面の中で同時に展開される。目ではハイスピードで流れてくるノーツを追いながら、耳では切ないメロディを味わえるという、その二重の楽しさが実に印象的なトラックだ。

■ Somebody - ブレーキをかけずに駆け抜ける青春のスピード感を刻んだダンスポップ by AIMERS

AIMERSの「Somebody」は、タイトルが示す通り、誰かに向けて心が動き出す瞬間を軽快に捉えた楽曲だ。恋に落ちたときのときめきと、夢に向かって疾走する青春の無鉄砲さが同居している。少し不器用で荒削りでありながらも、立ち止まることなく前へ進んでいくAIMERSのエネルギーが、曲全体に爽やかに広がっている。
曲の扉を開くのは、耳に直接飛び込んでくるエレクトリックギターのリフだ。そこにアフロポップ(Afro pop)とヒップホップのリズムを行き来するドラムが加わり、冒頭から目まぐるしく展開していく。随所に聴こえる口笛やグルーヴィーなベースラインも、絶妙なアクセントになっている。「Rollercoaster」や「加速度をつけて Faster」という歌詞が単なる比喩には聞こえないのも、そのためだ。音楽そのものがまるでジェットコースターのように、前へ前へと突き進んでいく。
ボーカルもまた、曲のスピード感を押し上げていく。澄んだ爽やかなトーンをベースにしながら、ここぞという場面では力強さを加え、短いフェイクを散りばめることでリズムをより生き生きとしたものにしている。「Somebody woo」「I can be your somebody」と繰り返されるサビのフックは、一度聴けばすぐに口ずさみたくなるキャッチーさを持ち、「Woo」「Yeah」「C'mon now」といった短い掛け声も、曲に絶え間ない躍動感を与えている。
125 BPMのMstar譜面もまた、こうした曲のキャラクターをそのまま引き継いでいる。複雑に入り組んだリズムではなく、疾走感のある明快なビートに乗せてノーツを叩く爽快感が際立つ。青春の疾走感という楽曲のイメージと、指先に伝わる打感が自然につながるトラックだ。

■ 踊れ! きゅーきょく哲学 - サブカル特有の過剰な美学と疾走するロックサウンド by 上坂すみれ

声優であり、唯一無二の個性を持つサブカルチャーアーティスト、上坂すみれの8枚目のシングル表題曲「踊れ! きゅーきょく哲学」は、タイトルからして尋常ではない。TVアニメ『アホガール』のエンディングテーマとして起用されたこの曲は、アニソン特有のユーモアと、過剰なまでの表現力を存分に味わえるトラックだ。上坂すみれ自身が作詞に参加していることもあり、歌詞や歌唱には彼女ならではの茶目っ気とキャラクター性が自然ににじみ出ている。
作・編曲とプログラミングを手がけた音楽クリエイター集団「月蝕会議」は、パンクロックの荒々しいエネルギーと、エレクトロミュージックの緻密なプログラミングを一気に叩き込んでいる。ギターとロックらしいリズムが曲の骨格を支える一方、電子音とプログラミングが絶え間なく隙間を埋めていく。そのため、聴き手が一息つく暇はほとんどない。アニソンらしいおどけた過剰さとロックのスピード感が交わることで、独特の推進力が生まれている。
上坂のボーカルも、この音楽性にぴたりと寄り添っている。感情を長く引きずって余韻を残すというより、言葉の一語一語をリズムのように遊ばせる歌い方が印象的だ。「哲学しよ! 哲学しよ!」という反復は、単なる歌詞ではなく、曲のリズムを構成する装置のようにも聞こえる。「ふらふら」「くらくら」「ぎらぎら」といった擬態語は、発音そのものがひとつのパーカッションのように響く。サビの「本能はきゅーきょく哲学」もまた、聴き終えた後に真っ先に脳裏に焼きつく強力なフックだ。
145 BPM、Master難易度のMstar譜面では、このめくるめくエネルギーがそのまま炸裂する。次々と降り注ぐノーツを追いかけているうちに、曲が持つ過剰なまでの躍動感が、いつしか指先の快感へと変わっていく。ハイテンポな楽曲を正確に追いかけること自体が、ひとつの演奏になるようなトラックだ。

■ Dopamine - 人間の身体そのものがひとつの楽器になる瞬間 by WING

世界的に知られるビートボクサー、WING(キム・ゴンホ)の代表作「Dopamine」は、全5曲の中でもひときわユニークなアプローチで音楽を構築している。一般的なエレクトロミュージックであれば、シンセサイザーやドラムマシンを連想しがちだが、この曲で最も重要な楽器は、ほかならぬ人間の身体だ。2017年の韓国王者、2018年のアジア王者を経て、2025年のグランド・ビートボックス・バトル(GBB)で準優勝を果たしたWINGは、自らの声と発声だけでエレクトロミュージックに匹敵する密度の高いサウンドを作り上げている。
曲をじっくり聴いてみると、キック、スネア、パーカッションはもちろん、重厚なボトムを支えるスロートベース(Throat Bass)まで、多彩な音が次々と飛び出してくる。しかし、これらすべての音の出発点はWING自身の身体にほかならない。口や喉を使って生み出したさまざまな音を幾重にも重ね合わせ、まるでひとつのエレクトロトラックであるかのような構造を作り上げている。特にビルドアップで緊張感を高め、ドロップで一気に爆発させる展開は、ビートボックスが単なるリズムの模倣技術ではなく、ひとつの音楽制作手法になり得ることを示している。
ボーカルもまた、一般的なポップスとは異なる役割を担っている。「Dopamine」「Dopamine now」「Can you feel it now?」といった簡潔なフレーズを反復し、声そのものをひとつのサンプルのように扱っている。長いストーリーを語るというより、リズムとサウンドの間に声を配置し、曲の推進力を途切れさせない役割を果たしている。
107 BPMという数字だけを見ると、今回のプレイリストの中では比較的ゆったりとした曲に感じられるかもしれない。しかし、実際に聴いてみると印象は大きく異なる。細かく分割されたビートボックスのリズムとスロートベースの深い低音が絡み合い、非常に密度の高い動きを生み出している。Mstarでプレイする際にも、単純なスピード感とは異なる種類の打感を味わえる曲だ。ビートを追いかけるというより、音のレイヤーをひとつひとつ体感していくような楽しさがある。

■ Conclusion : 声はもう「歌うだけ」の楽器ではない
今週のMstar Archiveで取り上げた5曲は、ジャンルという観点から見れば、互いにかなり離れた位置にある。荒々しいガレージ・エレクトロポップから、クラシカルなジャージー・クラブ、爽やかなダンスポップ、アニソンロック、そして人間の身体が生み出すビートボックス・エレクトロニカまで、一言で括ることは難しいラインナップだ。
しかし、この5曲を続けて聴いていると、そこにひとつの興味深い共通点が浮かび上がってくる。それは、ボーカルを単なる「メロディを歌う声」として使っていないという点だ。
UNCHILDの「UNCHILD」において、声はグループ名を叫ぶ宣誓であり、荒々しいギターと電子音の間を突き進む、もうひとつのリズムとなる。OH MY GIRLの「Classified」では、メンバーたちの柔らかな歌声が重なり合い、ストリングスとクラブビートの間に繊細な空間を作り出す。AIMERSの「Somebody」は、反復するフックと短い掛け声を駆使して、青春のスピード感をさらに加速させる。
上坂すみれの「踊れ! きゅーきょく哲学」では、言葉の選び方と発音そのものが音楽になる。意味よりもリズムが先に耳へ飛び込んでくる瞬間があり、遊び心たっぷりに繰り返される擬態語は、ドラムやパーカッションのように響く。そしてWINGの「Dopamine」に至っては、その可能性が極限まで拡張される。キック、スネア、パーカッション、スロートベースに至るまで、私たちがエレクトロミュージックで聴き慣れている音の数々が、人間の身体から紡ぎ出されるのだ。
結局のところ、今回の5曲において、声はもはやメロディの枠にとどまっていない。あるときはギターのように荒々しく、あるときはシンセサイザーのように夢幻的で、またあるときはドラムのようにビートを刻む。そしてWINGの音楽においては、声そのものがひとつの楽器となり、音楽を形作るツールへと変化する。
Mstarで音楽を演奏するということも、ある意味ではこうした変化と通じるところがある。私たちが耳で聴くだけだった音を目の前のノーツとして捉え、自らの手で叩くことで、音楽の一部になるからだ。今回のプレイリストは、まったく異なる5曲を通して、「声もまた楽器になり得る」というシンプルでありながら痛快な事実を、改めて教えてくれる。そして、その可能性がこれからどこまで広がっていくのかを、実に興味深く提示してくれる5曲でもある。